クラシック・オペラファンの間で黒田恭一氏の音楽解説文を読み、またテレビ・ラジオを通じてお姿や声の記憶のない方は殆どいらっしゃらないことでしょう。2009年5月29日に亡くなられました。氏はバスティアニーニの大変なファンでもあり、多くの賛辞を寄せられていました。新しいオーディオ製品を自宅に入れられた時には、必ずバスティアニーニの音源で、その新製品の音質を試していると書かれていたこともありました。氏は個人的にはバスティアニーニについて踏み込んだ研究などはされませんでしたが、多くのバスティアニーニファンにも丁寧に接していらっしゃいました。謹んで哀悼の意を捧げます。
会員の方からの哀悼文
私事ながら今を去る大昔、レオンカヴァッロ「ラ・ボエーム」の台本訳に取り掛かり、悪戦苦闘の末やっと幕が下りるところまでこぎ付けた時、余りの喜びと興奮で手書きの原稿コピーを「音楽の友社」気付で氏宛に送った事がある。ほどなくして氏より懇切丁寧な長文のお手紙が届き、共感や励ましの言葉が述べられていたのは痛く恐縮したものだった。
(中嶋重雄)